2009(平成21)年の「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(長期優良住宅普及促進法)制定を機に、日本の住宅事情は「つくっては壊す」から「いいものを長く大切に使う」へとシフトチェンジしました。
長持ちする家を建てるためには、どんなチェックポイントがあるのか、ご紹介します。
Contents
1.現代の住宅事情に求められるもの
2.長持ちする家とは、長期優良住宅の認定基準をクリアする家
①耐震性
②省エネルギー性
③居住環境
④維持保全計画
⑤維持管理・更新の容易性
⑥劣化対策
3.長期優良住宅の認定を受けるメリット、デメリット
1.現代の住宅事情に求められるもの
日本の伝統的な木造住宅は、建物自体の寿命は約27年と言われます。
世界水準でみると、アメリカの建物の寿命は約66年、イギリスは約80年と言われています。
気候・風土の違いを考慮に入れると、一概には比べられませんが、日本の木造住宅は、世界の中では短命であることがわかります。
そもそも地震や台風が多く、高温多湿な日本では、海外のような石やレンガ造りの堅牢な密閉型住宅は適しておらず、風通しの良い木造住宅が適しています。木造住宅には結露やシロアリなどの課題もあり、寿命の短さは宿命とも言えます。
そのような条件の中でも、日本で長持ちする家を建てるためには、気候・風土に適した木造建築でありながら、かつ結露やシロアリへの対策も求められます。
2.長持ちする家とは、長期優良住宅の認定基準をクリアする家
長期優良住宅の認定基準は、長持ちする家を建てるために欠かせないポイントです。
代表的な基準についてご紹介します。
①耐震性
地震大国である日本で、継続して住み続けることができる耐震性が求められています。
地盤、建物の形、基礎・土台、金物、壁・柱の位置と量など、チェックすべき項目が細かく挙げられています。
②省エネルギー性
次世代省エネルギー基準に適合する、断熱性能など確保することが必須です。
③居住環境
良好な景観の形成や、地域おける居住環境の維持・向上に配慮されていることが求められます。
④維持保全計画
定期的な点検、補修等に関する計画の策定が必要です。
⑤維持管理・更新の容易性
構造躯体に比べて耐用年数が短い内装や設備についても、維持管理の容易性が求められています。
⑥劣化対策
数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できることが必要とされています。
柱や梁など、建物の構造を支える躯体部分が、100年程度にわたり使用できるということです。
このほかにも、長期優良住宅の基準として省エネルギー性や居住環境、住戸面積などが設けられています。
それぞれが長期優良住宅として認定されるために必要な基準で、長く住み続けるためにも大切なポイントです。
3.長期優良住宅の認定を受けるメリット、デメリット
長期優良住宅に認定されると、住宅ローン減税の控除額が大きくなるなど、優遇措置も設けられています。
住宅ローン減税 | 住宅資金贈与の非課税枠拡大 | |
一般住宅の場合 | 最大273万円控除
(年間最大21万円×13年間) |
非課税枠500万円 |
長期優良住宅の場合 | 最大455万円控除
(年間最大35万円×13年間) |
非課税枠1,000万円 |
※最大182万円の差 | ※500万円の差 |
※2023年の情報です。住宅ローン減税や住宅資金贈与の非課税枠については、税制改正により金額や期限が変更になるので、利用される際は、住宅会社へ問い合わせたり、国土交通省のサイトで確認してください。
一方、認定を受けるためには着工前の申請が必要となり、認定手数料などの費用もかかります。
さらに、家が完成してからも30年以上にわたり、10年以内ごとの点検や修繕、改良を行い、記録を作成・保存する必要があります。
建設後の維持管理、間取り変更などは長期優良住宅の方に軍配が上がりますが、近年、一般の住宅の性能や機能性も向上しています。
メリット、デメリットの両面から考慮した上で、認定を受けるかどうかを判断しましょう。
クリニックから住宅まで。想像を超える、創造的な空間デザインを、お客様とともに。
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