土地の活用を考える際、選択肢の一つとして、医療・福祉施設での活用があります。
数々の課題はありますが、安定的な収益と地域への貢献度も多い、やりがいのある事業です。

1.医療施設として土地活用する三つの方法
2.医療施設として土地活用を行うメリット
3.医療施設として土地活用を行うデメリット
4.土地活用におすすめの医療施設の種類

1.医療施設として土地活用する三つの方法

医療施設として土地活用する場合、おおまかに三つのパターンがあります。
それぞれのメリット・デメリットについて見てみましょう。

①土地だけを貸す

医療従事者など、医療施設を経営する事業者に土地を貸し、地代を得る方法です。
医療施設の建築は事業者が行うため、土地のオーナーは初期費用を負担する必要がありません。
契約期間満了後は、更地の状態で土地を返還してもらえる点もメリットです。
一方、一般的に、地代の相場は建物の賃料より安い水準にあり、収益性は低くなります。

②自己負担で施設を建築して貸す

土地のオーナーが医療施設の建築費用を負担し、事業者を募って賃料を得る方法です。
賃貸目的の建物を建て、第三者に貸している土地は貸家建付地として評価されるため、更地より相続税の節税が可能です。
建物価格の減価償却費等を経費にできるため、所得税の節税にも有効です。
デメリットとして、医療施設の建築には高額な初期費用がかかるということ。万一事業者が見つからない場合や、事業者が撤退した場合の空室リスクがあります。

③建設協力金で施設を建築して貸す

事業者から建設協力金を預かり、施設を建築して貸す方法です。
預かった建設協力金は、建物完成後、賃料との相殺によって事業者に返済することになります。
このケースでは建築資金の調達が不要な上、事業者が確定した状態で進めることができるというメリットがあります。
一方、建物は事業者の意向に沿う仕様のため、撤退された際の転用は難しいと言えます。
事業者の撤退によって建設協力金の返済義務がなくなった場合、建設協力金は所得とみなされ、課税される可能性があります。

2.医療施設として土地活用を行うメリット

医療施設として土地を活用するメリットの一つ目は、地域への貢献が挙げられます。
とくに、近隣に不足している領域の医療施設を設置すれば、地域の方に喜ばれることは間違いありません。
また、高齢化の進む今後、医療は他業態に比べて撤退リスクが低く、長期的な活用が見込めることから、安定的な収益が得られるでしょう。
それから、狭い土地には小規模なクリニック、広い土地には大規模な病院や老人ホームと、土地面積に合わせた施設を選ぶことができることもメリットと言えます。

3.医療施設として土地活用を行うデメリット

デメリットとしては、医療施設として土地活用する場合、借り主は医師や福祉施設事業者に限定されるため、他業態に比べ、事業希望者の母数が少ないという課題があります。
それから、届け出の問題。入院用の病床を有する医療施設は建築確認申請を行い、耐火・防火措置を講じる必要があります。
そのほか保健所や厚生局等に漏れなく行う必要があります。
さらに、スタートすると簡単に廃業できないのが医療・福祉施設の宿命です。
長期的な経営を前提に考える必要があり、建物は他業態に転用しにくいということも考慮に入れておきましょう。

4.土地活用におすすめの医療施設の種類

土地活用で考えられる医療施設の代表例として、診療所、病院、介護・福祉施設が挙げられます。
病床が19床以下の小規模な医療施設が診療所（クリニック）です。必要面積が少ないため、狭い土地でも活用しやすい医療施設です。
20床以上の入院ベッドがある医療施設が病院です。100床以上の大規模な病院は総合病院に分類されます。
外来、入院の部門があり、設備・人員面の規模が大きい医療施設のため、広い土地が求められます。
老人ホームやグループホーム、デイサービスなどの介護・福祉施設は、少子高齢化が進む今後、さらに需要が高まることが予想されます。
比較的必要面積が大きいため、広い土地の活用に向いています。

医療施設としての土地活用は、医療業界とのネットワークのほか、ニーズの見極めや施設誘致、届け出など、数々の課題があります。
豊富な実績を持つ専門業者のサポートを求めましょう。

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